トレンドに合わせてサービスを展開するために
2019.6.18 サービス
新しいものがどんどん発売され、新商品もすぐに陳腐化してしまう現代社会。
そのような状況の中で、その開発を迅速に行うための手法である「アジャイル開発」を実践し、普及を目指すのが江端氏である。
プロフィール
江端 一将
1979年 愛知県生 鉄鋼会社や金融系の情報配信会社で勤務
2009年 株式会社Odd-e Japan(オッドイー・ジャパン)設立、代表取締役就任
時代の流れる速度に合わせて
毎年のように変わるトレンド。
それに合わせて、商品・サービスを開発していかねばならない。
時代の急速な変化にいかに対応していくか、という課題が経営者を悩ませる。
いいものを作るためにはやはり時間が必要になってくるが、どうやって開発のスピードを担保したらいいのか。
その一つの回答が、株式会社Odd-e Japan(オッドイー・ジャパン)の代表、江端氏の推奨する「アジャイル開発」である。
アジャイル
現在、日本でもっとも一般的なのがウォーターフォール型と呼ばれる開発手法だ。
その名の通り、滝のように上流から下流の工程に作業が流れていく。
完成形を最初からつくろうと事前に多くの検討がなされるため良い商品やサービスができる。
反面、どうしても時間がかかってしまうのが問題だ。
これでは作っている間にトレンドが変わって、完成した頃には需要はなくなっている。
今の時代だと、そんなことになりかねない。
一方で「アジャイル開発」には明確な完成形は最初から存在しない。
サービスや商品のコアとなる部分を小さく作って素早くリリースし、顧客の反応を見ながら、順次、必要な機能追加をしていく。
「アジャイル」の優れている点は、顧客の変化に合わせて柔軟に商品やサービスを変更していけるところにある。
顧客や時代の要求に合わせるのが容易なのである。
これが、江端氏が普及しようとしている「アジャイル」である
15歳の時に公園から始まった事業
江端氏のエピソードの中で、特に衝撃的なのは15歳の時の話だろう。
15歳になったある日、父親から「今日から大人扱いしてもいいか」と聞かれた江端氏。
自分が認められたようでうれしくなり、首を縦に振るが、それが事の発端だった。
それから一か月後に、父親からこんな言葉を聞かされる。
「大人なんだよな? 学費や家賃は払わないの?」
大人扱いとはそういうことか。
仕方なく家を出ることにした15歳の江端氏は二人の仲間を見つける。
二人とも父の同僚の息子だった。
どうやら父親同士で示し合わせて、子供たちを「大人扱い」したらしい。
3人で、公園で暮らしながらどうやって金を稼ぐかを考える。
コンピューターで事業を展開することを決め、なんとか融資も受けることができた。
最初は、当時、紙で行われていた請求書のやり取りを効率化するシステムを作る。
一社納品されると、次々と他の会社でも採用される。
次に着手したのが、時間管理システムの開発。
ここで、ようやく生活費を捻出できるようになり、家に帰ることができたという。
アジャイルとの出会い
江端氏がアジャイルと出会ったのは、大学を卒業した後に入った鉄鋼会社でのことだ。
大学卒業と同時に入った会社で、開発責任者に抜擢された江端氏は、プロジェクトを成功させる方法を探るために海外に目を向ける。
そこで出会ったのがアジャイルを提唱するKen Schwaber氏だった。
その考え方に共感し、自分のプロジェクトにアジャイルを導入した。
これが江端氏とアジャイルとの出会いだった。
のちにアジャイルを世界で普及する「Odd-e」を立ち上げたバス・ヴォッデ(Bas Vodde)氏に出会い、自身も日本で株式会社Odd-e Japan(オッドイー・ジャパン)を設立することになる。