「食卓を科学」

2017.9.29 その他

家庭での調理が減る中で調味料の全体の売り上げは落ちる中で、キューピーのマヨネーズとドレッシングは業績を伸ばしている。

今後も、安全な商品を提供することを心がけながら進んでいきたいと語る長南氏

プロフィール

長南 収
鹿児島大学水産学部卒
1980年 キユーピー入社
広域家庭用営業部長、常務を歴任。
2017年 キユーピー代表取締役社長執行役員

キューピー

もはや説明の必要もないくらい、家庭に浸透した調味料であるマヨネーズ。
その一大メーカーであるのが、キューピーだ。

マヨネーズ・ドレッシング等の製造販売で、2017年度の売り上げは連結で5500億円以上、従業員の数も14000人を超える。

そのキューピーに2017年、社長に就任した長南氏だが、その始まりは険しいものだった。
45年ぶりに新設された主力工場から起こった回収騒ぎ。
それは長南氏が社長に就任することを報告しようとしていた株主会議の直前に起きた。

受け継がれる思想

その状況の中で、長南氏はグループ内での引き締めを行う。
新設された工場は、新しい技術を導入した挑戦的なものだったが、その過程で不幸な事故が起きた。
モノづくりの原点にもう一度立ち返って、工程一つ一つを見直していく事を伝える。

また、創業者の中島氏の言葉を長南氏は述懐する。

お客様は缶詰などのような食品は中身が見えない中で買っていただくものであり、絶対に正直者が作らなければいけない。そして良い商品は良い原料からしか生まれない。

これがキューピーのモノづくりの考え方の基礎にあることを再確認する。

パワーサラダや、調味料の新しい使い方

また、今後の計画としては新しいサラダスタイルを提案していきたいと話す。
グループ全体で野菜、タンパク質、フルーツ、トッピングを組み合わせた「パワーサラダ」に取り組み、ドレッシングやグループの商材の売り上げも拡大した。

さらにマヨネーズも、従来のサラダなどにかける用途だけではなく、炒める、焼く、などの他の料理方法も提案して販売の間口を広げていく。

海外への展開

キューピーほどの大企業でも、海外展開はまだこれからだという。
売り上げの比率は、海外が7%ほどであり、これは先行メーカーの5割以上に対して低い割合だと語る。

これから中国と東南アジアを中心に海外展開を図るという長南氏。
現地に工場を立ち上げて、テレビCMで販路の拡大を目指す。

日本社会への還元

3組に1組が離婚し、母子家庭が増え、子供の7人に1人は貧困ともいわれる。

もし何らかの理由でお母さんが料理をできないと、子供は学校給食のみが栄養の補給をする場となってしまう。

今日の日本でそんなことがあるかと思ったが、それが現実。

2017年からキューピーはこのような貧困対策に取り組むために「みらいたまご財団」を設立した。このような活動をしている団体に支援をしつつ、自社独自でも活動を行うという。
「みらいたまご財団」を作ってよかったと長南氏は話す。

参考:

https://www.ssnp.co.jp/news/seasoning/2018/01/2018-0105-1459-14.html
https://www.kewpie.co.jp/index.html
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E9%95%B7%E5%8D%97%E5%8F%8E