世界中の人とモノをつなぐ

2016.9.21 IT・WEB

モノとインターネットをつなげるIoT。
玉川氏のそれは、そこから得られた情報を人の生活に活かしていく事業だ。

■プロフィール

玉川憲
ソラコム代表取締役社長

IoT

IoTと言う言葉をご存じだろうか。
Internet of Things つまり、モノのインターネットと訳されることが多い。
しかし、日本語にしてもまだ抽象的過ぎてわからない人も多いだろう。
例えば、身に着けている電子機器にSIMカードを挿入して、インターネットとつなげることにより、その人の現在位置、脈拍などの健康状態、どのような行動をとっているかなど情報を取得できる。

これはIoTの一例であるが、その他、様々なモノをインターネットに接続することによりその情報はリアルタイムに取得することができる。
情報の価値は、時間とともに風化していくこともあるが、取得した生の情報をすぐに行動に反映できることの意味は大きい。
重病やけがで倒れた人の情報がすぐに入手できれば、その場にかけつける時間の短縮にもなる。一刻を争う事態にも対応できる可能性も出てくる。

ソラコムは、格安のSimカードを企業に提供するサービスで成長したが、これはメーカーの製品などに挿入されIoTとして活用されている。

ソラコム誕生のきっかけ#

起業してソラコムを立ち上げた玉川氏であるが、もともとはAmazonウェブサービスのエヴァンジェリストとして活躍していた。
エヴァンジェリストとは、本来伝道師を意味する言葉で、この場合、一般の人には難解な技術などをわかりやすく説明できる人や、そのような業務に従事する人を指す。
もともと、Amazonで中堅社員として働いていた玉川氏だが、クラウドサービスにも通じており、新しい技術を基盤にしてのサービスを展開できる知識と技術を持っていた。

もっとも、AWSを使ったスタートアップは思いつくことなどなかったそうだが、出張先のシアトルで、仲間とビールを飲みながらパブリッククラウドの可能性の話をした後、時差ボケで寝付けない中、ホテルに戻ってなんとなく書き起こしてみたのが始まりだったという。
当初は起業するつもりもなかったが、行けると感じた玉川氏は決断をしたそうだ。

さらなる加速のために

急成長したソラコムだったが、2017年8月にKDDIに買収された。
連結子会社として、同月下旬からKDDIの傘下に入る。
このことに多くの利害関係者は少なくない衝撃を受けたはずだ。
大企業の傘下に入ることで、ベンチャーの持ち味である自由な発想や行動、それにスピード感が失われるのではないか。

組織時代に何らかの変化が起こるのではないかと危惧する考え方もある。
しかし、玉川氏は仕事の環境はこれまでとは驚くほど変わらないと語る。
基本的にネガティブな面はないと断言した上で、仕事のスピード感や考え方、メンバーもこれまでどおりだという。

ただし、資金調達の面で不安がなくなり、さらに事業基盤は安定する。
玉川氏は、今回の買収をソラコムの事業の更なる加速のための機会ととらえているようだ。

参考:http://ascii.jp/elem/000/001/525/1525188/
http://jp.techcrunch.com/2017/11/27/tctokyo2017-soracom/