人喜んでこそ商いなり

2016.11.26 IT・WEB

人喜んでこそ商いなり、という先代の精神を引き継いて、後継者として株式会社中央シャッターを背負った市川氏。

■プロフィール

市川慎次郎

株式会社中央シャッター 代表取締役社長
市川 慎次郎 (いちかわ しんじろう)

1976年、埼玉県生まれ。高校卒業後、中国の清華大学へ留学し、北京語言文化大学の漢語学部、経済貿易学科を卒業。帰国後、父の経営する株式会社中央シャッターに入社。父の下で創業者の精神を叩き込まれ、総務部部長・経理部部長を兼務し、当時9億円を超えていた負債を圧縮して会社を立て直した。

2012年、父の急逝を受けて代表取締役に就任。先代社長の遺志を受け継ぎ、地域とのつながりを大切にする着実な経営で安定した業績を残している。

後継者

後継者とはいうが、事業を継いだ2代目の行動は様々だ。
やりやすいように自分のカラーに会社を塗り替えたいと考える2代目も多い。

継ぐのは事業の基盤であり、経営に対する考え方まで引き継がないこともざらにある。これがうまく働けばよいが、社内をひっかきまわして終わる場合もある。

全体を見渡してこその会改革であって、一部を良い部品に買えても、他とかみ合わないことだって考えられる。
実際、うまくいく場合もあるので、どちらがいいとも言えないが市川氏は先代の考え方を尊重しながら会社を引き継いだ。

会社の始まり

株式会社中央シャッターは、現社長の父親、つまり先代の社長が創業した会社だ。
最初はシャッターの塗装業だったが顧客からの要望で、シャッターの修理、テントの修理、など徐々に業務範囲を広げて自社の工場を持つまでになった。
現在はシャッター・テント・看板のメーカーとなっており、取り付けからメンテナンスまで行う。

そんな市川氏が掲げるのは、「山賊から武士へ」「古き良き時代の復活」という二つの目標。
現在の中央シャッターは、腕はあるが、他社からあこがれる存在にはなれていないという。
山賊と武士、両方とも確かに腕はあるが、やはりあこがれるのは武士だと語る市川氏。
自社を冷静に見つめ、現在は衣食がようやく足りるようになって、これから礼節を知る時期だと自分の会社を謙虚に分析する。

また、職人が自らのプライドを持って働いていた過去の価値観も取り戻していきたいと語る。

先代の証明

人喜んでこそ商いなり、という考え方は、市川氏にも中央シャッターにも流れ続けているようだ。
それは社長本人が語る自社のエピソードからもわかる。
年末にシャッターが故障したが、どこも営業しておらず困っていた顧客を助けたり、部品が届くまで自社の工場のシャッターのモーターを取り外して、顧客のシャッターに取り付けて応急処置をしたりと、普通の会社ならあきらめてくださいというような場面でも助けに行く。

これが、長年にわたって顧客の信頼を集めている理由の一つと言えるだろう。
困っているんだから、助けるのが先だろう、利益はあとからついてくる。
そんな先代の言葉を証明するために、市川氏は事業を続ける。

参考:
http://www.chuo-shutter.com/company/

http://www.nippon-shacho.com/interview/in_chuo-shutter/