日本酒も「山形」という産地を語ってもらえるようにしたい

2017.8.29 小売・卸

地元密着型の酒造である出羽桜酒造株式会社の代表である仲野氏は、創業以来築いてきた伝統を守り、地元に愛されることを一番大切にしながら、世界も見据える

プロフィール

仲野益美

出羽桜酒造株式会社 代表取締役

1964年 天童市生
1984年 東京農大農学部醸造学科卒
その後、旧国税庁醸造試験場、東京の酒類卸会社で勤務
1987年 出羽桜酒造入社
2000年 社長就任

創業125年の酒蔵

山形県に出羽桜酒造という会社がある。
世界にいち早く日本酒を輸出し始めた会社で、1997年から始め、現在ではイギリス・イタリア・オランダ・スイスをはじめとしたヨーロッパ諸国。

また、アジアはインド・韓国・カンボジア・中国など
さらに北米はアメリカ、カナダ、など、世界25か国以上に輸出をしている。

日本民族の英知を集結した、日本の食文化を代表する吟醸酒の素晴らしさを日本だけでなく海外の方々にも知っていただきたいと考え、海外輸出をスタートしました。

そう話すのは代表の仲野氏である。

大切にしている5つの事

仲野氏は変わらない5つのポリシーがあるという。

第一に地元で愛されること。県外や海外で評価されても、地元で愛されなければ意味がないと話す。

第二に、初心者でもわかるような圧倒的な品質の違いを追求するということ。
確かに飲みなれていない人間にでも、味の違いが分かるほどの差別化をしていきたいという。

第三に適正価格で販売するということ。品質に見合った価格で、値引きもプレミアをつけて高くすることもしないという。

第四には吟醸酒に注力すること。手軽に楽しめる吟醸酒を提供していくことに力を注ぎたいと話す。

第五に利益を社会に還元すること。社会と社員に利益を還元していきたいという。

これらのポリシーから仲野氏が地元を大切にしながらも、広く愛される酒を造っていこうという姿がはっきりと見て取れる。
また、125年続く信用を守るために、価格や利益に対しても公正であろうとしているのもわかる。

オンライン販売・直接販売はしない

会社の売り上げは地元山形が50%をしめ、44%が東京などの県外、そして最後の6%が海外だという。
インターネット全盛のこの時世なら、オンラインで販売すれば様々な利点も出てくるはずなのだが、それはしないと明言する。
それは今まで世話になった卸売業者や小売店を裏切りたくないという誠実さの表れだ。

仲野氏は、自社の強みを、今まで築き上げた信用力だと言い切るが、それはこのように目先にとらわれない誠実なビジネスでさらに積み重ねられる。

日本酒の山形

1997年以降、日本酒の海外輸出を行っている。
それは世界に誇れる日本酒を紹介していきたいという思いがあるからだ。
そして、国内においても右肩下がりの日本酒の消費を食い止めていきたいと語る。

ワインの産地が「ボルドー」「ブルゴーニュ」などと言われるように、日本酒の産地として「山形」が語ってもらえるようにしていきたいと話す。

参考:

https://interview.interpresident.jp/tohoku/dewazakura/
http://www.dewazakura.co.jp/