100年企業を創造するために
2019.7.19 その他
100年続く企業を作るためには、事業承継は重大事項だ。しかし、それを先送りにしている経営者が多く、うまく後継者に事業を伝えることがでていないと田中氏は話す。
プロフィール
田中 一
大学卒業後 税務署勤務
1992年 税理士試験合格 現EY税理士法人転職
2014年 アルファ財産コンサルティング株式会社代表取締役
「継ぎたくない」と言われてしまう理由
近年、後継者不足で悩む経営者が多い。
その原因の一つは、後継者候補が、会社を継ぐのを拒否してしまうことにある。
たしかに借金まみれの会社はいくらでもある。
そのような会社は、きちんと立て直してからでないと誰も継ごうとは思わない。
たとえ息子でも、借金を肩代わりしてくれと言われて素直にうなずくわけがない。
ただし、後継者が承継を拒否するような会社でもM&Aで承継される場合がある。
20数年前までは自分の子供が事業を継ぐことが8割程で、それが当たり前でした。
しかし、ここ10年程では、それが4割程度と半減しています。
半減した分、全てが廃業しているかというとそうではなく、第三者がM&Aで事業を承継するケースが急増しています。
第三者がお金を払ってまで、事業を継承するのに、なぜ一番近い存在である息子がそれを拒否するのか。
その疑問に答えてくれるのが、アルファ財産コンサルティング株式会社の田中氏である。
事業承継に必要なもの
息子は拒否するのに、第三者がお金を払ってまで事業承継する。
それはなぜか。
『価値を高め、まとめてから伝える』ということがあるかないかの違いでしかなかったのです。
M&Aが当たり前とも言えるプロセスが、息子に伝える場合には抜けていると田中氏は指摘する。
この矛盾は、『親子でM&A』をするというプロセスを取り込むと、一気に解消されます。
自社の価値を高め、まとめてから子供へ伝えることで、事業承継が成功するだけでなく、承継した事業をより一層発展させることができるのです。
まずは企業価値を高めることが重要だ。
しかし、それには時間がかかるため、今すぐにでも取り掛かる必要がある。
会社の問題点を解決して、きれいな形で手渡すのは経営者の義務だ。
会社が続くために
会社の価値を明確にするためには、M&Aで行われるデューデリジェンス(事業精査)を経営者自身が行う。
そこに第三者が参加することで、客観的に企業価値が判断できる。
また、その価値を次世代にきちんと説明して、理解してもらうことができればスムーズな事業承継が実現できる。
「後継者が若いほうが、事業承継後の業績が伸びている」というデータもあります。
早い段階での事業継承が、会社の業績アップにつながることが多いと田中氏は話す。
たとえ息子に渡すとしても、経営者は「社長のイス」に執着してしまうことが少なくない。
会社を次世代に渡すのを「ゴール」ではなく、「通過点」と認識できるかどうかが経営者の器量であり、100年続く企業に求められることかもしれない。