次の世代に何を残すかを毎日考える

2017.10.29 その他

経営者の仕事は次の世代に何を残るかを考えることだと、畑中氏は言う。

プロフィール

畑中好彦

アステラス製薬株式会社 代表取締役社長

1980年 一橋大学経済学部卒 藤沢薬品工業入社
2003年 同社経営企画部部長
2005年 アステラス製薬(山之内製薬と藤沢薬品が合併)の経営戦略本部経営企画部長
米国法人でCEO(最高経営責任者)
2009年 経営戦略・財務担当の上席執行役員
2010年 米OSIファーマシューティカルズ買収を指揮
2011年 代表取締役就任

アステラス製薬

アステラス製薬は、2005年に山内製薬と藤沢薬品工業が合併して発足した会社で、医薬品の売り上げは世界でも有数の会社だ。

国内で言えば、武田薬品工業に次ぐ会社で、2014年には時価総額で追い抜いてもいる。
2011年にアステラス製薬の社長に就任した畑中氏は、それまで主力だった製品の特許が切れていく中で、がんの治療薬に投資して新薬を開発。

その薬「イクスタンジ」は2015年に年商1000億円を達成した。

先端・信頼の医薬

アステラス製薬は先端の医薬品で世界に貢献するという理念がある。
畑中氏は、そのためジェネリックや大衆薬はやらないと断言する。
だからこそ、経営資源を新薬の研究開発に集中させて、成果を出すことができたと言える。

また、新薬の値段について議論が起こることもあるが、最先端の新薬を作るためにはそれなりに資金が必要であり、知的財産の保護なども訴える。
そうでなければ、長期にわたる研究開発のリスクが負担になると話す。
さらに、高額薬品の価格だけに焦点が当たっているが、もっと広い視点を持つべきだと語る。

今は高額医薬品の価格にだけ焦点が当たっていますが、もっと幅広い意味で負担と給付のバランスや、医療費を含めた社会保障に関する世代間の公平性といった一段高いところから議論していかなければならないと思います。

次の世代に残すものを選択する

畑中氏は、常に次の世代に残すものを考えているという。
それは経営会議の席でも現れる。
新しい提案が出るたびに、それをやる代わりに何をやめるのかを訪ねるという。
何か新しいことを始めるのは、比較的簡単だ。

だが、リソースは有限であり、何もかもを選択することはできない。
畑中氏は、厳しい視点から、何を切り捨てて、何を残すのかを社員にも問う。

新しいことをどんどん始めていくと不要な業務もたまります。1つ新しいプロジェクトを始めるなら、既存のものを3つはやめるべきです。

こちらは変化が激しい時代に投資を決断するのだから、担当者にもそれぐらいの本気を見せてほしいと思っています。

思いを語らせる

経営会議で、事業の提案があるときは、その説明をさせることはないという。
会議の参加者は事前に資料を読み込んできているので、今更説明は不要だという。

その代わり、その事業における意気込みや思いを担当者に語らせるそうだ。
そして、その場でやるか、やめるかの判断を下すという。
持ち越しは無いという。

こうして、畑中氏が切り捨てることなく残って来たものが、現在のアステラス製薬を躍進させている。

参考:

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E7%95%91%E4%B8%AD%E5%A5%BD%E5%BD%A6

https://ja.wikipedia.org/wiki/%E3%82%A2%E3%82%B9%E3%83%86%E3%83%A9%E3%82%B9%E8%A3%BD%E8%96%AC

http://business.nikkeibp.co.jp/atcl/interview/15/230078/120100063/?P=1

https://www.astellas.com/jp/ja/about/history