コンセプトを貫く

2016.10.26 IT・WEB

親戚のおじさんに頼まれて、自宅で始めたネットショップ。それがリリース開始から1年で5万店舗以上の登録を達成したSTORES JPの始まりだった。

■プロフィール

光本勇介

株式会社ブラケット 代表取締役兼CEO

起業のきっかけは親戚のおじさんから頼まれたこと

起業のきっかけは人それぞれだが、光本氏のそれは少し変わっているかもしれない。
きっかけは親戚のおじさんからネットショップを作ってくれ、と頼まれたことから端を発するという。

そこで紹介できるサービスがあればよかったのだが、適当なものが見つからず、それならばいっそと自分で作り始めてしまうところがある意味起業家らしい。
2008年にブラケットを立ち上げたときは、社員は光本氏のみで自宅で開業したそうだ。
小さく生んで、大きく育てるとはよく言ったものだが、これはその中でももっとも小さな生み方と言えるだろう。
ただ、やはり普通の人と違う部分もある。

それは当時21歳だった光本氏を含め、たった3人、しかも期間は3か月でサービスを作ったという。しかも、サービスの開発は未体験であり、初めての仕事だったという。
未知の領域にためらうことなく飛び込んでいく姿勢はとてもベンチャー起業家らしい。

わかりやすさ

そもそもが、親戚のおじさんから頼まれたネットショップ。
ECサイトなど何も知らないおじさんが扱えるサイトでなければならない。
だからこそ、サービスを展開しているサイトの機能はシンプルでわかりやすいものになる。
近年のツールの特徴は、高機能化、多機能化だったと言える。
海外の開発ツールなどを見ても、どこにどのような機能が使えるのかわからないものも多い。少しユーザーインターフェースのデザインが変わってしまうだけでもうお手上げの状態だ。

しかし、ブラケットが提供しているサービスは実にわかりやすい。
STORES.JPなどのサービスも最短2分で、自分のネットショップが開設できるとうたっているが、手軽でわかりやすいサービスはより多くの人の関心を得ることができる。

明確なコンセプト

ブラケットには毎日何件もの問い合わせがあるという。
それは、サービスにある種の機能を追加してくれ、と言う要望なのだそうだ。
人によって使いたい機能は様々だろう。
そして、顧客満足を優先するなら要望の多い機能を順次追加していくことも十分に検討できるし、それが正しいように見える。

しかし、光本氏はそれをしない。
なぜなら、機能が増えてしまうと、せっかくの持ち味だったわかりやすさがなくなってしまうからだ。

光本氏には、明確なサービスの受け手像、顧客のペルソナが見えている。
それは親戚のおじさん。
何も知らないおじさんが使えるWEBサービスを追求し続けることが、大切であると語る。
不用意に機能を増やすと、おじさんが混乱してしまうのを避けているのだ。
この明確なコンセプトを維持して、外からの声に惑わされない姿勢がブラケットと、光本氏の強みと言えるだろう。

参考:https://www.find-job.net/connect/bracket/