人生をもっと前へ

2017.5.26 小売・卸

お金は人生のツールに過ぎないが、その中でも重要な部類に入る。これがなくて話にならないし、無ければ不安にもなる。
辻氏は個人向けに、お金を管理するツールを提供するサービスを展開する。

■プロフィール

辻庸介

マネーフォワード代表取締役社長CEO

2001年京都大学農学部を卒業後、2011年にペンシルバニア大学ウォートン校MBA修了。ソニー、マネックス証券を経て、2012年マネーフォワード設立。
マネックスベンチャーズ 投資委員会委員。
一般社団法人 新経済連盟 幹事。
経済産業省 FinTech検討会合 委員。

 

お金は人生の重要なツール

お金というのは、しょせんツールに過ぎない。
たとえば経営者の多くは、金銭的失敗のリスクよりも、機会損失を恐れるため、経済的失敗を恐れずに前に進んでいく。
人の価値観は様々なのでお金が全てではない。

とはいうものの、お金はやはり人生の中でも重要なツールの一つには違いない。
経営者を引き合いに出したが、一般の人の考え方は違うかもしれない。
安定志向の人間も日本には多い。もっと時間的にもゆとりをもって生活したい人もいるだろう。
そんな人たちのために、辻氏が提供しているマネーフォワードは、金銭を効率的に使用して、より良い人生を得るための個人向けのツールを提供している。

様々な銀行やカード会社と提携してお金の流れを把握し、ツールを使えば、登録した個人の家計簿が自動的に作成されるサービスだ。

社員に主体性を持たせるために

このように個人の金銭を管理し、効率的な使い方を目指すツールを提供している辻氏だが、人の巻き込み方が非常にうまい印象がある。
経営者や起業家は、頭も回るし、口の回る人も多い。とかく、自分の目的や理想を語りがちだが、本当に大切なのは聞くことである。

辻氏は自社で、経営者に対するアンケートを実施し、定期的に1対1の面接も行うという。
アンケートには自分の経営方針の説明が分かりづらいと書かれることもあり、それを見るのがつらいとも話すが、それを部下の理解力不足のせいにせず、自分に反省を貸すところが、氏の人となりと言える。

ともすれば、辻氏は部下に言われ放題の印象すら受けるが、社員が自らの意見を上司にたいしてはっきりと述べて、自主性をもって行動するための環境故だろうと思われる。

個人の目標を集団の目標へと変えていく

こうして、社是すら社員が決めたと話す辻氏だが、複数の人間を一つの目的にむかって進む集団に形成するのも長けている。
自発的に行動する人間を巻き込んでいった結果、自分が言ったから行動するのではない人間が集まった。

当初は自分が掲げたプロジェクトだったが、自分のプロジェクトではなく、自分たちのプロジェクトへと徐々に変わっていったという。
“人は石垣、人は城”と言った戦国武将がいたが、これは企業にも当てはまる。
企業もやはり人ありきなのだが、石垣の石はきちんとまとまって積まれてこそ用を成す。
そうでなければ、ただの石に過ぎない。

辻氏は、自らの動きながらも、個性的な社員たちをうまく積み上げて会社を成長させている。

参考:
https://corp.moneyforward.com/aboutus/message/
http://business.nikkeibp.co.jp/atclcmp/15/270964/051000004/