チャンスにあふれた社会を作りたい
2019.6.20 IT・WEB
日本社会にはチャンスが少ない。
そう感じた磯村氏は、ベンチャーや中小企業のための低価格業務支援システムを開発し、提供している。
磯村 亮典氏プロフィール
1987年 兵庫県生
2008年 某通信系ベンチャー入社
2010年 Scene Liveを設立。代表取締役就任
2011年 IT事業に転換とともに株式会社化
中小企業向けの低コスト業務システム
株式会社Scene Liveは中小企業やベンチャーに向けて、顧客管理システムを提供している会社だ。
どんな小さな会社でも成長していくにつれて、当然、顧客の数も増えていくが、それをどうやって管理していくか、という問題も出てくる。
もちろん、すでに様々な会社からCMS(顧客管理システム)は販売されている。
しかし、そのどれもが導入コスト、導入後のランニングコストともに非常に高価となっている。
Scene Live 代表の磯村氏は、30人規模の会社がこれを導入すれば、毎月25万~30万円かかる計算となると説明する。
資金力の乏しい中小企業やベンチャーでは、この金額では導入しづらい現実がある。
それなら、日本の中小企業やベンチャーはどうしているのだろうか。
その多くは基本的なシステムだけを導入して、あとは無料アプリなどでしのいでいる。
昨今、無料で優秀なビジネスツールは多い。
これらを使えば非常に安価に業務環境を構築できるのも確かだ。
しかし、それゆえに危険も潜む。
統一されていないアプリを各自でインストールして使っていると次のようなことが起こる。そのアプリで顧客を管理していた担当者が離職したりすれば、その瞬間にそのデータが飛んでしまう危険性もある。
アプリにログインできるIDやパスは、その担当者しか知らなかったりするからだ。
磯村氏はそんな中小企業の矛盾を解消するために、クラウドサービスで低価格の業務支援サービスを展開する。
価格は既存サービスの約半分であるというが、従来のサービスと同等以上に機能も盛り込まれているという。
枠組みを破る
磯村氏は大阪でコールセンター業務に従事したのがキャリアの始まりと言える。
それまで行っていた音楽活動に一つの区切りをつけ、バンド仲間だった福村氏と一緒に仕事を探していたが、そこで見つけたのがコールセンター立ち上げに伴う社員募集だった。
当時は軽いノリで応募したが、そこで才能を発揮した。
3か月でマネジメント職になり、責任と共に裁量も拡大していく。
たしかにやりがいもあるが、その中で見えてきたのは会社の非効率な部分だった。
自分だったらこうするのに、と思うことも多かった。
しかし、それを変える権限は自分にはない。
誰かが作った枠の中でしか動けない現状を打ち破るため、ならば起業するしかないと思いたった。
磯村氏は当時をこう振り返る。
「日本は平和な自由社会。チャンスはいくらでも転がっている。そう思っていました。でも起業して、そうではないことを身をもって知りました。いざ挑戦すると潰される、すごくチャンスのない社会だった」
『Synchro』
この思いは、Scene Liveの提供するサービスにも表れている。
集大成である『Synchro』は挑戦している企業のためのサービスと言える。
スタートアップしたばかりの資金にとぼしいベンチャーや中小企業を支援する低価格で、機能的にも同等以上のサービス群がそれだ。
「当社が開発してきたシステムに搭載した機能をすべて『Synchro』に盛り込みました。これさえあれば、すべて完結する。ほかのシステムを付け足さなくても済む。そんな理想の環境を中小・ベンチャー企業に提供したいんです」
自分たちのような思いをしている中小企業をサポートするために、機能的なアプリを低価格で提供していく。